掲示板に戻る
No:509 タイトル:GEAR戦士撫子 新Part504 お名前:プロフェッサー圧縮 投稿日:2022/07/27 09:31:33 単表示 返信

さて。

ともあれ役者は揃いました。

アレな結婚式から4日が経った1572年8月22日。

遂にカトリックとプロテスタントの間に決定的な断絶を起こす一連の事件が始まります。

1世紀にも渡って欧州に影を落とす宗教戦争の転換点。

サン・バルテルミの虐殺が幕開けるのです──────


          ◇          ◇          ◇


運命のその日。

未だ続く結婚祝賀会の帰り道。

ほろ酔い気分で数名の護衛のみを連れて宿に引き返す途中のコリニー提督の耳朶と肘を銃声が叩きました。

取り巻きは色めきだって犯人を探し、すぐに近くの窓から煙をたなびかせている火縄銃を発見しました。

すぐさま乗り込むも犯人の姿はなく。

ひとまず倒れ込んでうめき声を上げるコリニー提督の治療を優先し、近くの宿舎へと運び込んでいったのです。


          ◇          ◇          ◇


不幸中の幸い・・・・・・と言えるかはこの後の展開を考えると微妙ですが。

銃弾は急所を外れており、コリニー提督は一命を取り止めました。

急報を受けたシャルル9世はすぐさまコリニー提督の横たわる宿舎に自ら赴くと、病床の彼の手を取って涙ながらに「犯人には必ず報いをくれてやる」と誓ったそうです。

ちなみにカトリーヌも同席していましたが・・・・・・

彼女は終始能面の無表情を被り、内心を決して漏らしませんでした。

そして狙撃現場から馬の足跡がギーズ家に続いていたという捜査員からの報告を受けても、何のリアクションも起こさなかったのです。


          ◇          ◇          ◇


この反応の薄さと、コリニー提督が死んで誰が一番得するか? を合わせて考えた時・・・・・・

黒幕第一容疑者は、間違いなくカトリーヌでしょう。

しかし彼女は狡猾で、言葉巧みに焚き付けても決して物証を残すような真似はしませんでした。

こころは権謀術数で伸し上がったメディチ家の面目躍如と言ったところでしょうか。

だがしかし。

策士を標榜するものは往々にして策に溺れるもの。

この後事態は、誰にも制御できない暴走へと突き進んでいくのです。