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No:540 タイトル:GEAR戦士撫子 新Part535 お名前:プロフェッサー圧縮 投稿日:2023/03/01 11:33:30 単表示 返信

暗殺が発覚し、現場検証が終わって明けた2月12日。

枢密院は犯人を告発した者に2000ポンドの報酬を用意すると発表しました。

また、自首した者を赦免するとも。

これはつまるところ、最初の捜査では決定的な証拠を掴めなかったことを意味します。

事実、枢密院はヘンリー暗殺犯はボスウェル伯の単独犯等と証言とすら異なる結論を出しましたが、4月12日のトルプース裁判では逆転無罪とされました。

つまりこの時点ではメアリーもボスウェル伯も潔白ということになったのです。


          ◇          ◇          ◇


もっとも。

幾許もない内にこの評価は反転します。

いえ、当初の疑惑に戻ってきたと言うべきでしょうか。

後になって『証拠と称するモノ』が出てきたのです。


          ◇          ◇          ◇


それはメアリーがボスウェル伯に宛てた何枚もの手紙でした。

銀細工の小箱に入れられていたことから「小箱の手紙」或いは「秘密の手紙」と呼ばれています。

そしてその中に、夫ヘンリー暗殺に賛同する内容があったのです。


          ◇          ◇          ◇


ちなみにこの手紙を「証拠」として高々と掲げたのはボスウェル伯と悉く対立していた政敵マリ伯です。

彼らはボスウェル邸から押収したと主張していますが、もし直接取ってきたなら不法侵入では?

ついでに言いますと原本はフランス語と言っていますが公表したのは何故か英語とラテン語でした。

まあ怪しさ大爆発ですわね。

しかしスコットランドの民はこの露骨な工作を信じました。

メアリーとボスウェル伯の行動が、信憑性を持たせてしまっていたのです。