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No:556 タイトル:GEAR戦士撫子 新Part551 お名前:プロフェッサー圧縮 投稿日:2023/06/21 09:27:46 単表示 返信

ともあれ。

エドワード・シーモアの対スコットランド強攻策は大失敗に終わり、辛うじてフランス軍を押し返すことには成功したものの無用な軍事行動は国庫を圧迫し、直轄領の売却やら貨幣改鋳やらの窮余の金策を余儀なくされました。

特に貨幣改鋳は地味にヘンリー8世時代から続いており、シーモア時代も合わせて大悪改鋳と呼ばれます。

これは隠れた爆弾として、エリザベス1世の胃と頭を痛めることになるのです。


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そもそも何故改鋳が問題になるかと言いますと。

当時の通貨は「通貨そのものに含まれる貴金属量」によって価値が決まっていました。

乱暴な言い方をすると「この通貨は幾らで売れるか?」=「金銀グラムあたり何セントか」x「その通貨の含有量」ということです。

そしていちいち重量計っていたら商取引滞ること夥しいので、国が「この通貨は金銀がンg含まれている」と『保証』することで計算を簡易にしているのです。

この手の通貨自体が価値を持っているものを完全通貨と呼びますが・・・・・・

実体としては額面価値と実際の貴金属価値が一致していることはありませんでした。


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何故かと言いますと。

先程も述べましたが通貨の価値は含有貴金属量で決まります。

貴金属塊そのものを使わないのは、いちいち計量が面倒だからで・・・・・・

まぁぶっちゃけた話。

バレない程度に通貨削って貴金属ちょろまかす輩が続出したのです。


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タテマエ上は「この通貨にはnグラムの金銀が含まれてるからmセント」となっている訳ですから、バレなければmセントとして扱われます。

そしてちまちま削った分は後で纏めて売っ払って丸儲けと言う訳です。

これがあんまりにも横行した所為で現代の硬貨の金属的価値は全て額面の数分の一以下になっています。

まあアタリマエですわね。

しかしそれは金本位制が崩壊した後になりますから、この時点では遙か未来の話となります。