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No:537 タイトル:GEAR戦士撫子 新Part532 お名前:プロフェッサー圧縮 投稿日:2023/02/08 09:31:48 単表示 返信

脱走したメアリーは反マリ伯貴族を糾合して反転攻勢に出ました。

総兵数8000人にも達する女王軍に恐れをなし、マリ伯一派は一目散にイングランドに遁走します。

・・・機を見るに敏とでも言っとけば格好がつくとでも思ったのでしょうが。

もっとも逃げ足の速さも才能の内と言えばそうなのですが。

実際この手合いはしぶといですからね。

もう少しでスコットランドを牛耳るところまで来ましたし。

まあもっとも。

最終的には嵌めようとした政敵一派に暗殺された訳ですが。

まっこと歴史は人を呪わば穴二つですわ。


          ◇          ◇          ◇


閑話休題。

夫を翻意させたとは言え腹心を目の前で惨殺されたメアリーがヘンリーに心寄せるはずもなく。

流産せずに愛の結晶(ジェームズ)が生まれたにも関わらず、夫婦関係は事実上破綻していました。

王太子が生まれた後も別居生活を続けていた二人でしたが、1567年転機が訪れます。

ヘンリーが病に臥せったのです。


          ◇          ◇          ◇


ヘンリーの病名は梅毒とも言われていますが、公表はされなかったようです。

まあ風評の類いも山盛りあったことでしょう。梅毒にかかる状況だったことは公然の秘密でしたし。

何にせよ醜聞が続いてる王室にとって放置するのも良くはないこともあり。

メアリーは数ヶ月ぶりに夫ヘンリーに会うことにしたのです。


          ◇          ◇          ◇


暫くぶりに面を突き合せた二人は、驚くほど友好的な態度だったと言います。

・・・まあもはや「他人」レベルであるからこそ、余所行きの仮面を被って虚構の舞踊を踊ったのかも知れません。

内心を見せず療養所をあれやこれやと提案してはヘンリーが断る柔らかな押し問答が続いた後。

最終的にエディンバラはカーク・オ・フィールドに行くということで纒まりました。

──ここが最後の舞踏場になるとも知らずに。