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No:516 タイトル:GEAR戦士撫子 新Part511 お名前:プロフェッサー圧縮 投稿日:2022/09/14 09:49:04 単表示 返信

さて。

一部の幸運者を除き、老若男女問わず殺戮の嵐がフランス全土に吹き荒れた訳ですが・・・・・・

カトリーヌがここまで望んでたかと言えば、間違いなく否でしょう。

彼女は現実主義者であり、宗教に関してはむしろ無関心に近かったと言われています。

プロテスタントを嫌っていたのも度重なる王家へのテロ行為からであり、教義なぞカトリックのものですら知ってるか怪しいものです。

つまり彼女にとってプロテスタントはただの反乱分子で、この世にいてはいけない悪魔でもなければ一人残らず滅ぼすべき異教徒でもなかったのです。


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それが証拠に。

パリ在住ユグノー首脳陣を粗方処した8月26日に、国王シャルル9世はパリ高等法院で「此度の争乱はユグノーの陰謀の阻止である」と宣言し、戦勝パレードを行いました。

裏通りどころか表でも虐殺と戦闘は続いていましたが・・・・・・国王一派はガン無視しました。

そして宮殿に戻るとシャルル9世は書簡を書き、治安を乱さない限りプロテスタントに手出ししないよう命じます。

第一作戦目標(コリニー提督抹殺)は達したので、この辺で手打ちにしたかったのは明白でした。

しかし。

そんな甘っちょろく都合のいい話はがあるはずもなく。

虐殺と混乱は留まるところを知らなかったのです。


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原因の一つとして。

狂信者ギーズ一派とシャルル9世に嫌がらせがしたいアンジュー公アンリが結託し、先んじて各地にユグノー抹殺指令を出していたことが挙げられます。

当時電話なんて便利なものはありませんでしたから、どうしてもタイムラグが発生します。

ナントみたいに日和見サボり決め込んでれば別ですが・・・・・・

そのような幸運に預かれた者は、ごく僅かだったのです。


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もう一つの原因はまさにこのタイムラグにあり、重装の軍より早馬の方が速いのは必然です。

つまり震源地のパリと違い、地方のプロテスタントには行動を決める猶予がありました。

中央に近いプロテスタントは恐慌のあまり信教を捨てる者が続出しましたが、地方ほど国外脱出を選ぶ者が多かったと言います。

要するにユグノーをこの機に根絶やしにする等土台不可能であり。

その見る目の無さが泥沼の戦いに通じていくのです─────────