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No:522 タイトル:GEAR戦士撫子 新Part517 お名前:プロフェッサー圧縮 投稿日:2022/10/26 09:42:00 単表示 返信

フランソワは末っ子にありがちな甘ったれであったらしく、大分放蕩なことをやっていたみたいです。

ただこういうガキ大将気質は取り巻きを呼ぶもの。

シャルル9世存命の頃からやんちゃなユグノー貴族が周辺に侍っていたようです。

それはアンリ3世が即位してからも変わらずと言いますか激化して行き。

1575年9月には宮廷から脱走してポリティークと呼ばれる不満派の頭目となって現政権に反旗を翻すのです。


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先の歴史的虐殺サン・バルテルミの惨劇は、革命思想の萌芽である暴君放伐論の他に新たな議論と概念を呼び起こしました。

暴君放伐論がプロテスタントの革新理論武装なら、ポリティークはカトリック穏健派の保守理論武装です。

最初に理論化したのは経済学者にして法学者、そして弁護士ジャン・ボダンとされています。


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ポリティークは歴史上初めて国家主権という概念を定めました。

封建制国家の王というものは、あくまで「地主のボス」に過ぎませんでした。

なので国王の権限は言うほど大きくなかったのです。

しかしポリティークは地主或いは貴族を無視し、「国王と国民」の2層に単純化しました。

「家に家長が一人であるように、国家に王はただ一人」という訳です。

ちなみに。

家長(国王)はどのように決めるかと言いますと、ボダンは著書「国家論六編」で殴り合いで決めろ等と供述しています。

まあ現実的と言えばそうかも知れませんが。

法学者ならもうちょっと知性ある方法提唱して頂きたいものですわね。


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まあもっとも。

このジャン・ボダン、異端審問官としても有名ですので。

悪名高い「悪魔憑き」はこの狂信者が著したものです。

長らく魔女狩りのバイブルとして用いられ、無実の犠牲者がどのくらいの数に登るかもはや知るすべもありません。

経済においても国家体制にしても近代的理論の先駆けとなった人物ですが・・・・・・

個人的な善悪としては明白にギルティと思いますわええ。