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No:513 タイトル:GEAR戦士撫子 新Part508 お名前:プロフェッサー圧縮 投稿日:2022/08/24 17:13:24 単表示 返信

本来はプロテスタントに寛容(というかどうでもいい)スタンスだったカトリーヌも、第二次ユグノー戦争の導火線となったモーの奇襲からすっかりアンチになってしまっていました。

割とお馴染になったヴェネツィア大使に「ユグノーに期待できるのは欺瞞だけ」とか愚痴ってたくらいです。

直近の第三次ユグノー戦争では煮え湯を飲まされたと言っても過言ではありません。

まあそんな状況だからこそ嵩に懸かってたと言いますかぶっちゃけ調子に乗ってたきらいはあります。

当時でも見るものが見れば阿呆かこいつら案件と思われますが・・・・・・

諫める暇もなかったのが歴史の悲劇というものでしょう。


          ◇          ◇          ◇


まあそういう訳で。

ノータリンの戯れ言だろうとは頭の片隅で思っていても、実際ユグノーは度々軽挙妄動繰り返していましたのでやらないとは言い切れません。

それに、ピンチこそチャンスではありませんが・・・・・・

コリニー提督の他にもユグノー軍有力貴族が相当数集まっている今、奇襲を仕掛けるまたとない機会でありました。

それこそ、ここを逃せば二度と無いくらいには。


          ◇          ◇          ◇


そんなこんなで、カトリーヌとしては是が非でも愛する息子に首を縦に振らせなければなりませんでした。

泣き落とし脅迫何でもありで説得しても芳しい反応寄越さないシャルル9世に・・・・・・

カトリーヌは遂に、諸刃の宝剣を抜いたのです。


          ◇          ◇          ◇


いよいよ業を煮やしたカトリーヌは、その後の政治的悪影響を知りつつ叱責しました。

「息子よ、貴方がそうやってぐずぐずしてたらギーズ公がカトリック陣営纏め上げてユグノー粛清に向かいますよ!
 そうなったらどうなるか!
 パリの民はこぞってギーズ公を持て囃し、私達王家は見捨てられるでしょう!
 私達は宮殿を追い出され、ギーズ公が堂々と玉座に座るでしょう!
 貴方はそれでいいのですか!」

それを聞いた当代フランス国王は懊悩し、煩悶し・・・・・・

唐突に立ち上がって叫ぶのです。

「そうだ皆殺しだ! 皆殺しにしろ!!」

と。

これこそが史上屈指の惨劇の狼煙。

サン・バルテルミーの虐殺が今、幕開けたのです──────!!