No:
514
タイトル:
GEAR戦士撫子 新Part509
お名前:
プロフェッサー圧縮
投稿日:
2022/08/31 09:31:54
単表示
返信
明けて1572年8月24日。
前日深夜から日が変わった頃に、パリ市政当局が密かに招集されました。
彼らに与えられた任務は───パリの門をすべて閉ざし、プロテスタント首脳陣を袋の鼠にすること。
更に市民に武装令を出し、ユグノーの報復に備えさせました。
・・・この命がなければ、犠牲者はもうちょっと少なかったと考えるのは後世の傲慢でしょうかね?
もっとも、この時のパリ市民はコリニー提督暗殺未遂の報復を恐れていましたから・・・・・・
結局は同じことだったかも知れません。
◇ ◇ ◇
そして8月24日未明。
手負いのコリニー提督が安静にしている宿の前にギーズ一派が集結していました。
彼らが「宮廷からの使者である」と名乗ると、見張りの手兵は何の疑いもなく襲撃者達を中に招き入れました。
・・・まあ、ギリ嘘は言ってません。
彼らは錦の御旗ならぬ正式な命令を受けていたのですから。
そして。
マヌケにも殺戮者を入れてしまったコリニー提督の部下達は、提督諸共文字通り血祭りに上げられたのです──────
◇ ◇ ◇
重症で深い眠りに落ちていたコリニー提督は、賊に気付くことなく一瞬で首を狩られました。
胴体は窓から投げ棄てられ、首級は戦果として持去られました。
道端に打ち捨てられた遺体は暴徒と化したパリ市民に市中引き回しの上八つ裂き、川に投げ込んだ後引き上げて絞首台に吊るして焼き討ちしたと伝えられます。
・・・・・・もう何と言いますか。
お前らの血は何色だと問い詰めたくなりますわ。
まあ市民と言いつつギーズ一派が混じっている気はすごくしますが。
それにしても誰か止めなかったんでしょうか。
これで死後天国に行けると本気で信じてたんでしょうか。
正直言って、想像の埒外ですわ。
◇ ◇ ◇
しかし。
この惨たらしさすら、この歴史的大虐殺の序章でしかありませんでした。
この地上の地獄は5日間にも及び、少なくとも2千人にも及ぶ死者が出ました。
重軽傷者は恐らく計測不能です。
そして血に餓えた信徒共はパリだけに飽き足らず、全土に殺戮の嵐を撒き散らしていくのです。