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No:623 タイトル:GEAR戦士撫子 新Part618 お名前:プロフェッサー圧縮 投稿日:2024/10/02 07:02:36 単表示 返信

さてここまでの説明を聞いた其処の賢い貴方。

「結局周期があるんだから解読できるんじゃないの?」

と思いましたわね?

それはある意味正しくてある意味間違っています。

どういうことか?

簡単ではありますが解説いたしましょう。


          ◇          ◇          ◇


まず第一に。

ヴィジュネル暗号を破った統計論は、『暗号鍵の』同じ文字位置なら同じ文字に変換されることが大前提です。

しかしエニグマは原文の文字位置で変換先が変わります。

その上「ローターの開始位置を1文字目にする理由などない」のです。

つまりエニグマ本体が手に入ったとしても初期位置のパターンだけで26^3=17576もあり、これを勘案して元文字を推測するなど人間には絶対に不可能です。


          ◇          ◇          ◇


そして第二に。

エニグマのローターは簡単に入れ替えが出来るようになっており、文字パターンが異なるローターを適宜入れ替えて暗号化することが可能ということです。

その気になれば1文毎に入れ替えて暗号化することも出来、そうなったらどれだけ長文であってもサンプルとして物の役に立ちません。

短文が複数回暗号を変えて連なっているのと一緒です。

この観点においても、統計論での暗号解読は完全に死んだと言っていいでしょう。


          ◇          ◇          ◇


しかし、です。

ここまでの話は理想的な「運用」が為されていればのことです。

人間のやることですから、油断・慢心により綻びが出るのもまた宿命であります。

それに無敵に思えたエニグマにもある『蟻の一穴』がありました。

針の穴より狭い『それ』を通り抜け、人は遂にこの難攻不落の暗号を攻略したのです──────!